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洞窟ホームレス株式会社VSFXマルチ商法詐欺

洞窟ホームレス株式会社VSFXマルチ商法詐欺

文章のみの4クルー目の14

洞窟の見取り図)

コハルはあたかも、洞窟と言うカフェの店長と言う感じだった。林太郎さんは常連さんか、実はオーナーという感じだった。コハルは朝来ると、すぐ掃除をしていて、きれいに保たれていた。
以前東北大学医学部の山岳部の部室をみたことがある。その机がおそらく、ここと同じ机だったが、写真を見比べてみると、ここのはほんとにいつもきれいだなと感じる。
洞窟の平面図を書けばいいのだが、説明する。入り口のドアの壊れた部分は、タカハシさんとアツシが東北大学からひろってきた板をうちつけてふさいであった。ドアをあけると洞窟のスペースが2つに区切られている壁が目の前にある。
壁の向こうには、林太郎さん、リョウさん、ヌマさんと、誰が使ってもいい事務机が並んでいる。林太郎さんの机だけが、左側の光のほうに向いて、リョウさんヌマさん空の机は壁に向かっていた。林太郎さんの机の左にレコードプレイヤーがあった。
林太郎さんの机の先には、レースのカーテンになっていて、その先にはリンちゃんのベッドがあったけど、高さ150センチくらいのついたてがリンちゃんの部屋の中に立っていた。
リンちゃんの部屋は、簡易な天蓋があって、その下にベッドがあった。光のほう、というか、その先は天井が無く、開いている。そこにはハーブやミニトマトが植えられていた。 部屋の隅には、タカハシさんの作った水を浄水する器械があった。
洞 窟に入って、前面に広がるついたての前には、いつもコハルがカンバスを立てて絵を描いていた。右側には、水力発電で使った機械があったが、それを取り囲む ように本棚が10個並んでいて、本がびっしり入っていた。本棚の間に、コピー機があったが、あんまりここでは使わなかった。
洞 窟に入って、前面に広がるついたてと本棚とは通路を作っていた。そこを抜けると、ついたてが切れ、広い空間と、大きなテーブル、高い天井からヨーロッパア ンティークな電気が10個吊り下げられていた。赤、緑、白だ。大きなテーブルにスライド映写機や8ミリ映写機で、前面の壁に映画を映した。ヌマさんがそこで似た人の似顔絵をよく描いていた。よく、林太郎さんはその似顔絵を褒めていた。「これ、絶対カネになるよ、そう思う」
発電機のかげにトイレがあった。大きなテーブルのあるところは、カフェと呼ばれた。 カフェを抜けると、暗い暗い洞窟につながって行く。右側にいくつもの、ドアのない部屋があり、手前からアツシ、リンちゃん、コハル、林太郎さんの部屋になっていた。そこより先は、タカハシさんの物置になっていた。
そのドアのない部屋が切れたところに、後で話す精製工場ができた。
ひとは、入ると、まずコハルに逢うのだが、その前に巨大な麒麟の頭と出くわす。戦前に作られた麒麟の作り物で、これは洞窟の奥のほうに放置されていたものを、持ってきたものだ。最初、これを見つけたときは、1週間怪物がここに住むとみんなは思った。
毎日、その怪物を確認にみんなで行き、8日目に作り物だとわかった。戦後、だれかが、ここに運んだものらしい。その麒麟の首に隠れて、コハルが絵を描いていた。
コハルの部屋には、カラーコピーの機械が入っていた、150センチ四方のダンボールの丈夫な箱が入っていて、そこにコハルは入っていた。小さい時に、コハルのおとうさんが、家に同じようにこの手の箱を持ってきて、子どものコハルはそこで遊んだらしい。

「アルファの支配人」)
インターネットでは、「アルファ」の経理を担当していた人間Tが攻撃されていた。
実際には、モトさんが現在その位置にあるが、正確には、書類も「アルファ」からモトさんにきちんと送られないどころか、入金もなしの状態なので、モトさんが作業に関わったのは引継ぎのあとの3ケ月で途絶えている。
モトさんも、「アルファ」に支配人になることを暗に求められていたようだが、それは拒否していた。実際に登記上の「アルファの支配人」とは、顧問税理士であるTが便宜上、支配人になっていただけだ。

支配人は商法・会社法上の代理権が認められている。わかりやすく言えば、何かする度に委任状や議事録等の原因証書を主務官庁に対して呈示しなければならないと すると、時間的に不都合であり、これの交付を取締役等からそのたびに請求していたのでは、花田の行動を見る限り、無理なことだ。(花田は自分の携帯もTにもモトさんにも教えていない。)
また、税理士・社労士・司法書士・行政書士の職務範囲は限定されている。仮に弁護士であっても他士業の登録をしない限り、その職域の事務はできないことになっている。しかし、支配人の代理権は法律で認められているので、士業の登録が不要になる。多少、脱法行為的だ。

「アルファ」の経理)
ネットでは、その経理担当者Tと「アルファ」の出会いから書かれていた。
つまり、その経理会社の設立の経緯を「アルファ」への民事訴訟になっているものへ準備書面から抜粋され転記されていた。

「アルファ」との出会いの経緯は、被告(被告番号5、アルファのFXのソフトを作った男性)が、今(平成21年)から8年ほど前まで中古車のブローカーをしており、Tがオーナーである中古車販売店に商いに訪れたのが出合いのきっかけであった。被告番号5とTの従業員が、偶然にも中学の同級生であったこともあって、たびたび出入りするようになったのである。
その後の平成17年5月頃、被告番号5から「ある会社の役員に就任する」ことになったので、役員変更登記をしたいのだが、どのようにしたらいいのかという 相談をうけたので、Tが「取締役の変更、商号の変更登記」の申請手続きを行った。これが、現在の「アルファ」である
平成20年3月頃、「アルファ」の従業員が急速に増加したことを理由に、被告番号5より企業コンサルのスペシャリストを集めて欲しい旨、申入れがあり、Tの友人・知人である社労士、行政書士、税理士等の合同事務所を自宅ビルの3階に同年6月ころ設立し、以降平成21年6月まで会計記帳・労働保険手続・議事録作 成等の業務を行っていた。
   なお、平成21年3月頃、被告番号5から「アルファ」並びに関連法人の会計記帳に関して、代表者である花田の意向で、仙台の会計事務所(「アルファ」の 関連会社訴外〔間島社長の会社〕の顧問先)に同業務を委託する旨、申入れがあり、平成21年6月末日を以てTは支配人の任を解かれ、当該事務の引継ぎ作業のおり、平成21年7月20日の家宅捜索を受けたのである。
 前項の「仙台の知人に同業務を委託する」に関して、以下に言及する。
会計処理の実務において、「アルファ」が有すると称する電子マネーは、税務処理するうえで一般金融機関の預金口座と等しく処理する他なく、当初からTより「アルファ」の担当者である被告番号7に対して、出納履歴の公開を再々申し入れたが、その度に「システム連動がうまくいってない」と、理由をつけられ引き延ばされていたのであった。これらの会計記帳の委託先変更は、Tらに見せられない事実があるためのものであったと思われる。
 上述のとおり、Tは「アルファ」において事務系の業務のみを担当していたのであり、出資金の募集に関する「説明会、コンベンション、幹部会その他の如何を問わず参加していない、そもそも、Tは自己の所有する会社経営・不動産経営の合間に「アルファ」の事務処理を請負っていたのであって、マルチとかいうものに興味もなければ時間もなく、原告らの誰一人として面識はない。

この書き込みはアンチ「アルファ」側のこのような書き込みで締められている。

民事上、道義上の責任は違うぞ詐欺商材で「稼いだ」人たちだからな
故意であろうとなかろうと民事上の責任はある
利益分を被害分に充当しろ



アルファの迷走)
そのころ、「アルファ」への集団訴訟の原告が「アルファ」から返金がない事を苦に自殺した。
2010年6月、林太郎さんのところにモトさんから連絡があった。間島社長から、間島社長の会社の帳簿を4年分、警察に提出する要請が来たとのことだった。強制捜査から11ケ月が過ぎていた。
残党は3つに分かれた。まだ、アルファが業務を行っているときに、金を不正に引き出したという「造反組」、摘発後しばらく経ち、アルファを見限ったか、あるいは、アルファと関係がないことをイメージつけようとする「離反組」。そして、いまだに、アルファの花田を信じている「信者」と呼ばれるひとたちだった。

詳細巻末添付(*1)

「造反組」は融資に絡んだマルチ商法を、「離反組」は水を商材にしたマルチ商法をはじめていたが、この「信者」が捜査から1年半後、新たなマルチ商法を始めたが、そのときに花田の息子がその会員の技術的な管理を受け持つことになった。 

「信者」からすれば、花田の息子をシステムの中に取り込むことで、花田がHK(香港)で新しい動きを成功させたときに、味方にしてくれるだろうと期待しているようだった。言ってみれば、花田の息子は人質みたいなものだった。しかし、見方を変えれば、欲しがるひとの多い、アルファの顧客を花田の息子が利用できる立場に立つことになる。


林太郎さんの枯渇)
実際、動画サイトも500万円をつぎこんで、結局ものにはならなかった。周囲にいる知人や友人も、ひとを新たに雇うような余裕はない。また、なにかを始めた知人や友人の会社は実際、どこもカツカツだった。いったいどこにおカネが流れているんだろう。 わからなかった。

八木山橋)
八木山橋の上で、林太郎さんとリンちゃん
林太郎さん「ここは自殺の名所だったんだよ。まあ、ビルがこれほどなくて、こんなふうにフェンスが高くされる前にはね。有名な小説かもここで身を投げようとしてて、ところが、木にひっかかって一命をとりとめたので、奮起して小説家になっている」
リンちゃん「ふじむらみさお」
林太郎さん「藤村操知ってるの?」
リンちゃん「おじいちゃんのお客さん多いもんで」
林太郎さん「そか、華厳の滝のね」
リンちゃん「うん」
華厳の滝は藤村操をいう哲学青年が身を投げたことで、一躍有名になった。「人生不可解なり」と華厳の滝の樹木に残して身を投げたとなっているが、実際は「人生不可解なり」ではなくて、「人生は不可解、我この恨を懐いて煩悩終に死を決す」だった。

眼下に辰口峡谷が見える。

リンちゃん「川、流れているんだね」
林太郎さん「そうだね」

洞窟、ヌマさん)
暗い洞窟の中。コハルが中に入ると、ヌマさんが、はさみを自分の耳に刺そうと構えている。
コハル「ヌマさん…」
コハルがそっと声をかける。
ヌマさん「ああ」
コハル「…、、、それ」
ヌマさん「あ、これ?」
コハル「それ」
ヌマさん「あのね、耳毛が生えるんだよ。年取るとね。」
コハル「あ」笑う
ヌマさん「エチケットミントも手放せない。今日、面接いこうかと思って」
コハル「あ」
ヌマさん「耳毛切る、髭剃り機みたいなの売っているみたいだね」
コハル「…」
ヌマさん「口、臭いと思ったら、言ってね。」
コハル「はい」
ヌマさん「自分は、そういうとき、相手にガムすすめるんだよね」
コハル「はい」
ヌマさん「林太郎さんにさ、本とか見せるときにね、コハルちゃん林太郎さんの目の近くに差し出すでしょ。15センチくらいに。あれ、見えてないんだよ。林太郎さん、老眼はいってるの、隠してるから。ほんとは、遠くにしないと見えないんだよ。」
コハル「はいっ」

風呂)
サウナや銭湯とともに、ホテルのトイレでの体洗いをしていたが、秋ごろには風呂桶が揃った。お湯をためてそこで行水状態で使った、サトウさんに解体現場からタイルのものを欲しかったが洋風の風呂をゆずってくれたのだ。
これは運搬代ということでお金をとられた。

ヌマさんは風呂は使わない。
リョウさん、林太郎さん、タカハシさんが使った。

そろそろ初老というか、加齢臭が気になりはじめる時期。やっかいなことに、自分では、臭いを感じなくなる。嗅覚には同じにおいをずっと嗅いでいると、その 臭いに慣れてしまうという特徴がある。それを順応反応と言う。順応反応があるため、自分の臭いを自分で確かめるのは難しい。口臭を自分確かめるのもできな くなるのは、同じ原因らしい。


資生堂の研究所によれば、ノネナールという物質が体臭の原因らしい。
皮膚にある皮脂腺に脂肪酸が増え、過酸化脂質と結びついてノネナールという物質になる。このノネナールは、男女関係なく40歳代以降に増加する可能性が高く、男性特有の臭いとはまた別物。
ひとによっては便臭っぽい臭いとには同じにいうのもある。

(口臭は揮発性硫黄化合物という硫黄ガスらしい)

そこで、お風呂は欠かせないし、主にいい匂いということで、ラッシュ(LUSH)の石鹸が3種類用意されていた。タカハシさんは、髪用のシャンプーで身体を洗っていた。

苦労するなぁ。
トイレ)

トイレは吐水のところのそばにつくった。
女性にはきびしい感じだけど、ひとが来る場所ではない。
一応木に囲まれていた。
夜は洞窟のそばですました。


秘密基地
秘密基地)
ここは、まるで秘密基地だ。
「ナンとジョー先生」(若草物語)の 第39話 さよならプラムフィールドにこういう台詞がある。「大人になるとだれもが忘れてしまう 自分がかつては子どもだったことを 子ども時代にどんな思い出をもったかで 大人の人生が決まるのだ 私はそう思う。 その思い出のなかでもなつかしき プラムフィールドで過ごした日々のことを 私はけして忘れない 愛すべき 仲間たちと過ごした日々のことを」
大人になってこれをやっている自分たちって、、、と思った。



タカハシさんの社会批判)
林太郎さんとリンちゃんは仙台の街をけっこう歩いていた。
知られていない場所を取材していくというものだけど、ひとが入っていないと写真としておさまりがつかないので、リンちゃんと連れ立って歩いていた。
ときおり、タカハシさんも同行した。タカハシさんが同行すると、結構政治批判につながった。
仙台復興記念館前の蔵で
林太郎さん「ここに、戦災の跡があるんだよ。焼夷弾がおちてこげたあとが、蔵のなかにあるんだ」
リンちゃん「入れるんですか?」
林太郎さん 「前の社長さん、会長さんかな、が生きていらしたときには、見せてくれたけど」
リンちゃん「戦争ね」
タカハシさん「戦争の悲惨さは、下のもの同士が憎み合うようになることだよ」

タカハシさん 「ここの戦災復興記念館に焼けた状況とか資料が展示してあるけど、戦争がこころに残した傷のほうが大きい。外国の戦争でもそうだけど、大統領とか首相は無傷で、市民ばかりが戦場に送られたり、銃撃されたりだ。子ども殺されて、憎しみだけが残っていく」
タカハシさん「昔から権力者は」
タカハシさん「昔から権力者は、モノドモイケーで。安全なところにいるんだ」
「会社だって、同じだよ」リンちゃんが継いだ。 「正社員はぬくぬくとしてても高い給料で、派遣とか、外部社員は低い給料なのに、休みもきちんととれないし。おまけに社員が仕事できないの多すぎ」

戦争ってのは、国と国の戦いではなく 利益を得る企業や層というのが存在し、 殺し合いをさせられるのは一般市民同士だ…こどもや愛する人をころされ憎しみが市民のなかに生まれ…もっと憎むべき先は、じつは 身内の長だったりするのが戦争だよ。

リョウさんの夏)
リョウさんは洞窟に来る人に「あなたの夢ってなにすか?」と必ず聞いた。
リョウさん「大人の夢ってなじょなもんだべか?って思うなぁ。マジでや、『ゴルフ100切ることが夢です』とかだもんな。歌手になりたいとか、宇宙飛行士とか、、、そういうのじゃないんんだおんな」
アツシ「そうですか?オレらの世代でも公務員になりたいとか、そういうのがマジで、夢ですよ。難関だし」
ヌマさん「大学の勉強と別に、公務員の学校行かないと入れないらしいですよ」

リョウさん「若いうちはや、女の子さ『結婚』っていうものありきでや、『君を守る』って言ってればカッコついたんだけどなぁ。守るのもホント大変でや。やっぱーり、公務員とか昔の3公社5現業とか銀行とかにいねどやと、そう気軽に『君を守る』って言えない気がすんなぁ」
アツシ「3公社5現業って?」
リョウさん「3公社は日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本専売公社だべや。わかんねのすかや」
アツシ「日本交通公社は?」
リョウさん「日本交通公社は民間団体だべや」
アツシ「5現業って?」
リョウさん「国の経営する企業。国有林野事業を除いて、独立行政法人とか日本郵政公社に移管されたんだぁ」



ヌマさんの夏)
ヌマさんは主に料理を担当した。もともと、カフェの経営の経験があり、料理が嫌いじゃないみたいだ。たまに、広瀬川の野草をてんぷらにしたりしていた。

林太郎さん「ヌマさん、畑つくるのはやめてね。追廻や大工町みたいに」
ヌマさん「え」
林太郎さん「めだつでしょ。めだったうえに、市の建設課が来るようになるからさ」
そうは言っても、林太郎さんは洞窟からそれほど離れていないところに、じゃがいもとハーブを植えていた。
リョウさん「どうしてヌマさんが料理を作るようになったのすか?」
アツシ「最初はさ、林太郎さんがつくってたんだよ。リンちゃんはできないっていうし、、、ていうか、そういうのやる気ないみたいだし。でも、林太郎さんが福寿草出そうとしてさ」
リョウさん「食べれないのすか?」
アツシ「食べれないですよー、食べれるのは雪割草。あれ?逆だったかな」
リョウさん「食べれないのすかやぁ」
アツシ「そのときに、ヌマさんがいろいろ聞いてみると、ジャガイモの葉っぱとか、公園の紫キャベツ、、じゃなくって、葉牡丹も食ってたらしんですよ」
リョウさん「あ、ジャガイモの葉ってだめなのすか?」
アツシ「ダメじゃないですか?芽は毒ですよ」
リョウさん「葉牡丹はどだべ?」
アツシ「葉牡丹は改良されている過程で食えないらしいですよ」
リョウさん「んだかぁ?」
アツシ「いや、ヌマさんがそう言ってたから」
リョウさん「おれもや、林太郎さんにもやしのサラダごちそうになったときや、生でモヤシだしたみたいでや、のどがひりひりしてあとでおどけでねがったぁ」
アツシ「ぼくは、あのふたりに魚の切り身そのままブロックで食べさせれたことありますよ」
リョウさん「なんで?『かばねやみ』すかや?」
アツシ「『かばねやみ』?」
リョウさん「めんどくさがりなのすか?ってや?」
アツシ「そうやって、たまに食べると生き物を食べているっていう感じするでしょうって。
すごくね、なまぐさいんですよ、ブロックで食べると。かぶりつくんですよ、タカハシさんに1ブロック、林太郎さんに1ブロック、ぼくに1ブロックで、あとはごはんだけですから」

リョウさん「なしてヌマさんは社員証、首からぶらさげてるんだべ?バイト先がや?」
アツシ「なんか、犬の首輪みたいに思っているみたいですよ。あれがないのはのら犬だって」
リョウさん 「たしかに、大きな会社の社員は社員証を首からぶらさげてるおんな。でも、あれどこのなのっしゃ?」
アツシ「コハルちゃんにつくってもらった偽物じゃないですか。リンちゃんも、ともだちの社員証つくってもらってましたよ。アリバイ用の」
リョウさん「え?」
アツシ「実家とか、カレシに見せるためじゃないですか?カネボウとかつくってました」
リョウさん「で」
アツシ 「あと、100円ショップのケースに入れるんだと思います」
リョウさん「リンちゃんカレシいるのすか?」
アツシ 「そうでしょう?この間、屋台でオトコといましたけど、わかんないですね」

ハーブと洞窟のあげもの)


洞窟の前にミントなど、ハーブ系の植物が植えられた。町で、
自生しているものをすこしづつ集めた。
コンフリーはテンプラにしてよく食べた。
あげものはコハルが好き。
こういうあげもの、油者は自宅ではできないらしい。
「油のにおいがこもるから」と言っていた。

洞窟株式会社での四季)

洞窟株式会社での四季はビートルズだ。
林太郎さんの世代は、好むと好まざるとに関わらずビートルズを聴かされている。
中学の校内放送でいつもかかっていたのが「カムトゥギャザー」というビートルズの曲だと知ったのは、林太郎さんが高校になってからだ。
洞窟株式会社、ここも、好むと好まざるとに関わらず四季を感じてしまう。


かつての日本と言うのはそうだったのかもしれない。
仙台も町なかは、蝉も来ない。街路樹の新緑と紅葉と枝だけの木の3パターンと、会社の花見、家の蚊、梅雨、クーラー、雪、(ひとによっては花粉症)で四季を感じるくらいかもしれない。
ここでは、花が、たとえば春なら、カタクリ、キクザキイチゲ、ナガハシスミレ、ショウジョウバカマ、ニリンソウ、チョウジザクラの順で咲いて枯れていくのを目にする。
昆虫が好きなら、春はモンシロチョウ、ミヤマセセリ、ルリタテハ、ヒメギフチョウを見ることができる。
しかし、こう名前を書いても、おそらくイメージできるのはモンシロチョウだけじゃないだろうか?

ここは、自然が自己紹介無しで飛び回り、咲き、枯れていく。
だから調べないと名前は『蝶か蛾』『雑草か野の花』だ。

しかし、林太郎さんらは、小学校の野外研修のように、自然の不思議さ・面白さに瞳を輝かせるでもなく、ただここに居るのだ。
季節の折や、命の移り変わりは贅沢にも、なんの役にも立たないと思われたまま、林太郎さんらとは関係なく流れていた。
天気)

林太郎さんたちに切実だったのは、天気だった。
キャンプに来ていたわけでないので、わずかな日々のちがいを感じている余裕はなかった。

冬の雪は、河原につもった雪が虹色に光るのは感動ものなのだ。しかし、雪の日は、髪を洗うと朝には髪が凍っている。洞窟への足跡が残るので、雪なんか降らないほうがありがたかった。


日差しは気をつけて観察すれば毎日ちがうし、季節によってやわらかくも、きびしくも、弱くもなる。
風は、ぬるかったり、肌を刺すように冷たかったりした。

けれど、それを感じるのは、なにかに行き詰った時に河原まで降りて、寝転がりなにも考えないでいたときだけだった。
雲が流れる、風が木をゆらし、強弱をつけるように周囲500メートルくらいをざわめかせる。鳥たちは鳴き、とんびが悠悠と風に乗って飛んでいる。それを見上げて、コンビニで買ったおにぎりをたべてため息をつくのだ。



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